焼き板で時計を作った時の話

焼き板で時計を作った時の話

高専4年生のとき、掛け時計を作った。作ったといっても針を回す機構から作るのはハードルが高いので、文字盤だけオリジナルで作ろうと思った。コンセプトとしては「木と金属の融合」。なんだか中二臭いが、「木目」と「金属光沢」それぞれの素材の質感を生かしたものが作りたいという意味だ。

まずはデザイン

「木と金属を融合させたい」 という漠然としたテーマはあったものの、具体的なアイディアが思い浮かばなかった。なので、デザインは外注することにした。中高一緒だった親友の一人に、優秀なデザイナーがいる。中学校の時はノートをいかに美しく書くかでよく競っていたことを思い出す。ここではT氏と呼ぶ。

T氏に相談したところ、素晴らしいラフを送ってきてくれた。その画像は残念ながら残っていないが、そのラフを元に作ったCGの画像は残っていた。

ラフを元に作成した3Dモデル

画面をハードコピーするという発想はなかったのだろうか。まぁそれはいいとして、円板の上に金属棒を生やして、先端に文字を配置するという、斬新なデザインだった。T氏曰く、「12個すべての文字を配置するのは情報量が多く見る側がてストレスに感じるので、実用性を考えると4つくらいが丁度よい」とのこと。他の文字の部分はどうするのかというと、何もないのは視認性が悪いため棒でも生やして先端に丸い「何か」をいいと言っていた。

この時計、どうだろうか。私は超かっこいいと思う。正直、素晴らしいセンスだと思った。軽い感動を覚えた。はやく作りたくてウズウズした。

材料集め

デザインが固まれば、あとは作るだけ。どうやって作るのか具体化するのは、エンジニアの腕の見せ所だ。

まずは針を回す機構。時計を自作したい人向けに、ちゃんとそういうモジュールが売られていた。購入したのは、電波時計機能付きのムーブメントモジュールと針だ。針はちゃんと時針・分針・秒針があった。価格は5000円くらいだったと思う。ちゃんと針を回しつつ、補正電波を受信して校正してくれるのはすごい。

文字盤は木目で作りたかったので、この木目を最大限に生かせるよう、「焼き板」を使うことにした。おそらく誰でも小5くらいに野外研修で経験しているではないだろうか。焼き板の完成品はホームセンターに行けば売っていることもあるのだが、丁度いい大きさのものがあるか分からなかったのと、焼いて磨くだけなので自分でやってみることにした。材料は300mm×900mmくらいの杉の板。

その他の材料として、Φ5くらいのアルミの丸棒、断面1mm×10mmの薄いアルミの板をホームセンターで買ってきた。

焼き板の作製

当時、学校の寮に入っていたので、敷地内でバーナーで炙るなどできなかった。仕方がないので帰省して庭で実行した。

板のカット

これが元の板。まずは所望の形にカットしていく。表面を焼いて、こげた部分を落とすので一回り小さくなることを考慮してカットする。

円板にしたいのでコンパスで円を描く。

角を落とすように切って・・・

切って・・・

こんなもんだろうか。カットした面をやすり整える。どうせ後で焼くのだから、そんなピカピカに磨く必要はない。

加工済みの杉板

焼く

庭に転がっていたブロックを並べて、加熱しやすいようにする。奥の緑のブロックは要らなかったな・・・

炉?

バーナーは、どこのご家庭にもある一般的なヤツ。我が家ではお墓参りで活躍しているものだ。お墓参りにガスバーナー?と思った方もいるかもしれないが、風が強い日や雨の日ってやたらと火がつきにくいじゃん?ガスバーナーだと一瞬でつくんですよ。超便利。

早速バーニング!

いい感じ。でもまだ足りない。

ちらっ

作業の様子を見守る愛犬

愛犬に見守られながら、ガンガン炎をあてていく。

ちょっと炙りすぎ?ってくらいが丁度いいって、小5の時に自然の家のおっちゃんが言っていた気がするからこれくらいでいいだろう。あの時の経験は、この時のためにあった。

磨く

あとは冷まして磨くだけ、冷めるまでは愛犬に遊んでもらった。作業中は終始、なにしてんの?って顔で見られてた。

焼き板と愛犬

磨くのに使えそうなツールを揃えて磨いていく。まずはスチールウールでガシガシこする。すると、こげはぼろぼろと落ちた。

おお!きれいな木目が出てきた。

おおよそ黒い焦げが落ちきったら、新品のデッキブラシや布でこする。

完成した円板焼き板。焼く前の板と比較してみると、木目がより味わい深く浮き出ている。

せっかくなので余った板も焼き板にした。この時は特に用途をきめていなかったが、2枚目の円板はこの前帰省したら鍋敷きになっていた。よい就職先が見つかったようだ。

とりあえず針を並べてみた。まあ、しょぼいよね。

金属加工

金属加工の写真はあまり残っていなかった。

学校の機械工作室が自由に使えたので、ねじ切りの練習という定で丸棒を加工した。このねじ切り、意外と難しい。丸棒を垂直に固定してバイスという工具で切っていくのだが、この時にバイスを水平に切りこむのがなかなか至難の業だ。でも、8本×両側加工したらそれなりに慣れた。

あとはこの細い丸棒を固定する部品を作る。 Φ50のアルミ丸棒を薄くカットし、旋盤で表面を整え、側面にめねじを切る。おねじを切るよりかは簡単だ。

組み立て

丸棒を先ほど作った部品に取り付ける。いいじゃない。

あと写真を撮っていなかったが、目隠し用の薄いアルミ円板なんかも作って組む。アルミ円板の同心円の模様は、旋盤でうすーく削ることで、切削痕をつけた。

一気にぽくなった。丸棒の先端には、ホームセンターで打っていた木のボールを取り付けた。本来何に使うものなのかは全く分からない。

完成

文字を取り付けて完成。文字は薄いアルミ板を削って塗装し、接着剤で張り付けた。なかなかいいデキだと思う。写真では文字が少し見づらいが、実際はもう少しマシだった。

作ってみて改めて思ったけど、木目と金属光沢の組み合わせって抜群だ。人工的なものと自然のもののコントラストが最大限に生かされているように感じる。

その後

この時計は元々、人にプレゼントするために作ったものだった。なので今は手元に無いが、作っている過程そのものも楽しかった。せっかく写真として残っていたので載せることにした。

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