温度が上がると電気抵抗が高くなるのはなぜ?(2)

温度が上がると電気抵抗が高くなるのはなぜ?(2)

電気抵抗って何?

次に電気抵抗について説明する。 抵抗という概念を知るためには、まず電気って何?ってことを知る必要がある。なんだかハードルが高そうだが、答えはとってもカンタン。電子っていう小さい粒が流れている。ただそれだけ。

じゃあどこを流れるの?と言われれば、実はどこでも流れ得る。物質があろうと無かろうと流れる。ただ、物によって流れやすかったり流れにくかったりする。

そう、これ。この流れやすさ・流れにくさが抵抗というパラメータそのものなのだ。

では、具体的に抵抗はどのようなときに高くなり、またどのようなときに低くなるのだろうか。それを説明するために、また銅くんに登場してもらおう。説明のため、今回は電気の正体である電子くんにも登場してもらう。

銅くんと電子くん

銅くんはとても電気を流しやすい元素の中で三番目に抵抗が低いため、いろいろなところに使われる。電柱同士を繋いでいる電線やスマホの中の基板の配線、アナタの家の壁の中に張り巡らされているコンセントの配線など、いろいろなところで銅くんが使われている。

ちょっとだけ関連知識
「一番抵抗が低い物質を使えばいいじゃん」と思うだろう。でも、一番・二番の物質は値段が高い。一番は銀で、二番は金だ。( よく勘違いされているが、実は銀が一番抵抗が低い )こんな1グラムあたり数千円するような物質を、大量に使う電線に使ってられない。なので三番目に抵抗が低くて、尚且つ値段の比較的安い銅くんが一番使われる。ちなみに、銅は裸では腐食しやすい(錆びやすい)ので、メンテがしにくい場所や裸で使う場所では四番目に抵抗が小さいアルミニウムが使われる。
例:高圧送電線など。

電気を流すため、銅くんは銅線に加工される。銅線はいろいろな太さがあるが、とりあえず細長く成型される。こんなかんじ。

ここを電子くんがスイスイと間を縫うようにして通っていく。ただし、すきまのだったらどこでも好き勝手進めるワケではない。実は、銅くんはそれぞれ表面に最外殻(さいがいかく)という電子くんが通れる道を持っている。電子くんは基本的にこの最外殻以外は通ることができない。銅くんの場合は、この最外殻がとても空いている。だから電子くんが通りやすい。

この、最外殻の空き具合こそが、電気抵抗を大きく左右する。もともと電気抵抗が高い物質は、この最外殻に電子くんが通れる余裕が少なかったり、もしくは全く無かったりする。物質によって空いていたり空いていなかったりするのはこの最外殻上に、既に先客がいたりいなかったりするためだ。この先客とは何かというと、やはりこれもまた電子くんである。でもこの電子くん、電流を流すことに一切関与せず、自分が住みついている銅くんの一番外側をくるくると回り続けているだけなのである。こういう電子を価電子と呼ぶ。いわばニート電子だ。

最外殻には入れる電子くんの数が決まっている。銅くんの場合、32個の電子くんが入れる。そのうち、銅くんは1個か2個のニート電子を必ず抱えているので、30か31個の空席があることになる。これはスカスカだ。30人ちょいのクラスに、一人が二人しかいないような状態だ。これだけスカスカだと、自由電子(ニートじゃない電子くん)がとても通りやすい。

物質の性格は最外殻の電子の数でだいたい決まる

先ほど、最外殻の空き具合が電気抵抗を大きく左右すると書いた。この最外殻の数が決めるのは、言い換えるとその物質の性格だ。

は?性格?

と思わずに、まずは最後まで読んでほしい。

物質(原子)の性格は全部で18パターンある。そして、同じ性格の物質は特性が似ている。ここで周期表を見てみよう。この周期表が、性格とは何なのかを理解する上でとても役に立つ。

ウゲェ。高校の時に覚えるの大変だった奴じゃん。と、嫌な思い出を持っている人も多いかもしれない。でも、よく理解すると、いろいろなことが分かってくる便利なヤツだ。

物質の性格は18パターンあると言ったがこの18という数字、少し前に見なかっただろうか?

そう、最外殻に入ることのできる電子の数だ。周期表の一番上に1から18の数字が書いてある。これが最外殻にあるニート電子の数というわけではではないのだが、この同じ列(縦)に並んでいる物質は同じ数の最外殻の電子 (最外殻電子という) 数を持つ。同じ最外殻電子数を持つ物質は同じような性格だ。例えば銅くんが所属する第11属の他の原子を見てると、金くんと銀くんがいる。彼らは銅くんと合わせて電気抵抗が小さい金属トップスリーだ。つまり、 第11属は電気抵抗が低い性質があるということを示している。

ただ、同じ11属だからといって全く同じ特性なわけじゃない。現に、銀・金・銅では抵抗値は似ているものの、全く同じではない。ここで言いたいことは、最外殻電子の数だけが電気抵抗を決めるわけじゃないよってことだ。正確に、他にどんな要因が電気抵抗を決めているのか(銅と金・銀で何が違うか)を知るためにはガチガチのガチな物理屋さんを連れてこないと説明できないので、ここでは省略させてほしい。(後で勉強して追記します)

まとめると、

最外殻の電子くんの空き具合が、電気抵抗に大きく影響している。空いているほど電気抵抗が低くなりやすい。
銅は最外殻の空きが多いため、電気抵抗が低い。

温度が高くなると電気抵抗が高くなる理由

これで、温度が高くなったときに物質の振る舞いと、電気の正体が分かった。

勘のいい人なら既に想像できているかもしれないが、温度が高くなると電気抵抗が高くなる理由はこれに尽きる。

格子振動が大きくなると、電子が通りづらくなるからだ。

揺れているだけなのになぜ間を通りずづらくなるのかイメージが湧かない場合は、自分が電子くんになった場合を想像してみてほしい。例えば君が、キレイに整列している人の間を通り抜けようとしている。整列している人がピタッと静止していれば、その間を通り抜けることは容易そうだ。

しかし、一人一人がゆらゆらと揺れていればどうだろうか。貧乏ゆすり程度の細かい振動だったらまだいい。しかし、温度が上がるに従って、その揺れ方は激しさを増す。全員が密集して踊り狂うクラブハウスの中を移動するのはとても大変だろう。

これで説明は以上だが、温度が高くなると電気抵抗が高くなる理由をイメージできただろうか。なんとなくでもよいので、ピンと来たものがあれば幸いだ。

まとめ

温度が高い状態とは、原子が激しく運動している状態のこと
電気とは、電子という小さな粒の流れのこと。
◆温度が高くなると、原子の振動が大きくなり電子の流れを妨げるため、電気抵抗が上昇する。

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