自宅で太陽光発電システムを構築する⑤ (24V拡張編)

自宅で太陽光発電システムを構築する⑤ (24V拡張編)

12V系での動作確認ができたので、24V系への拡張です。

パネル・バッテリをそれぞれ2直列にして発電・充電容量を拡大します。インバータも24V用の大容量のものを用意しました。いよいよ本格的なシステムづくりです。

ただ、その前に一つ注意があります。

30Vを超える場合は電気工事士の資格が必要

バッテリは12Vの2直列だから合計24V。資格は不要?

…いえ、今回の場合は定格出力18Vパネルを2直列にするため、合計の定格電圧は36Vです。更に、開放電圧は21.6Vと記載されているので、2直列にした時点で40Vを余裕でオーバーしてしまいます。

※解放電圧とは、パネルの端子をどこにも接続しないときの電圧です。

パネル背面の表示

私は幸いにも高校自体に取得していました。(前回の投稿「配線編」で圧着に使っていた工具類も実技の演習で使用していたものです)

なぜ12Vで充電するのに18Vパネルが必要?
なぜ12Vで使いたいのに、18V定格のパネルが必要なのでしょうか。実は、バッテリを充電するためにはそれ以上に高い電圧をかける必要なのです。バッテリは充電されると出力電圧が上がり、逆に放電していけば電圧が下がります。つまり、定格12Vと表示されているバッテリも空っぽに近ければ11Vを下回りますし、フル充電時は14Vを超えます。充電時は常に、今の電圧よりも高い電圧をかける必要があるのです。

オフグリッド発電やるなら電気工事士取得はおススメ

多少の時間とお金はかかりますが、難しい資格でもないので取得することをおススメします。正しい電気の基礎知識が学べるだけでなく、正しい圧着端子の接続方法や適切なケーブルの選び方など、効率や安全に直結する重要な技能も習得できます。

何より、開放電圧30Vの制約を受けず、オフグリッドを自由に拡張できるようになるのは最大のメリットです。

また、電気工事士は電力インフラを支える重要な職業であるため、保有者の需要がなくなることはありません。いざというときに備えて、保険として取っておく意味も大きいと言えます。

防水処理の修復

追加の材料が届いたので早速組もうと思った矢先、パネルのケーブル引き出しボックスが剥離しているのを見つけてしまいました。IP67と謳っているにも関わらず、これでは防水もへったくれもありません。

返品・交換も考えましたが、この程度のことで工程を遅らせるのも悔しいので修復することにしました。

ボックスがシリコーンシーラントから剥離しています。

シリコーンシーラントとボックスの間にアロンアルファを流し込み、外側をグルーガンで補強します。

ついでに、ハンダも甘かったので追いハンダしておきます。ちなみに、この真ん中の端子って何なんでしょうか?アースなら接地しておいた方が良いですが、マンションだとアースを取れる場所も限られますね。

現行パネルの撤去・加工

修復したパネルの出力もテスタで確認できました。設置済のパネルとフレームを一旦撤去し、2枚取り付けられるように組み換えます。

作業前には発電セル面を養生必須。セルに衝撃を与えてしまうと、結晶が割れてしまい最悪全く発電できなくなってしまいます。

これまではパネルは1枚だったので横向きに設置していましたが、2枚になったため縦置きに変更です。パネルの短辺にはネジ穴が開いていないのでドリルで穴を開けます。ボルトはM8のためφ9かφ10は欲しいところです。

今回のように薄い板材への穴あけにはステップドリル(私はタケノコドリルと呼んでいます)が使えます。材料に大きな穴をあけるときは小さな穴をあけ、徐々に大きくしていくのがセオリーですが、このタケノコドリルはドリルを交換をせずに次々と穴を大きくできます。

フレームを組付けました。パネル1枚につき8本のM8ボルトで固定できているので、強度は安心できます。

フレームの高さが足りなかったので、30cmほど延長しました。足の部分がなんだかゴツくなってしまいましたが、無骨な感じで私は好きです。

いざ再設置!

汗だくになりながら、なんとか設置完了。たった5m動かして、ベランダに出すだけに1時間近くかかってしまいました。

この日の気温は32度。日陰なのに息苦しくなるような暑さでした。東北民には致死レベルの熱気です。

パネル2枚と固定するフレームで重さは約60kgにもなります。ときどき押しつぶされそうになりながら、なんとか設置できました。

写真で見ると大したことないですが、現物を見ると結構迫力あります。(パネル全体で約1m×1m)

物干し竿用ポールへの固定は、相変わらず耐候インシュロックです。これが見た目以上に頑丈で、切断するときも切れ味のいいニッパーで思い切り力を入れないと切ることができません。

配線はフレームに固定します。配線の直径や距離は変えていませんが、起電圧が上がったため単位ワット数当たりの送電効率は改善されたことになります。これもパネルを並列ではなく直列に接続する利点の一つですね。

なぜ電圧を上げるだけで送電効率が改善される理由についてはこちらで詳しく説明しています。→発電所からの電気を高圧で送電するのはなぜ?

落下防止チェーンも保険として残しておきます。増設前と比べてパネルとフレームが強固に締結できたため、チェーンはフレームに取り付けました。(落下する際はパネルとフレームが分離しないという想定)

ベランダから手を伸ばして、外側を撮った様子です。しっかり2杯のパネルを隙間なく設置できました。

充電回路も修正

1500W正弦波インバータを新調

12Vから24Vに電圧を上げたため、インバータも新規に調達しました。出力は1500W(瞬間最大3000W)です。

Amazonで二万ちょいでした。VEDECOAというブランドのようですが、中華インバータなのでどこまで使えるかは定かではありません。一応、リンクはこちらです。

付属品は以外と豊富で、バッテリとの接続ケーブル・アース線・交換用ヒューズ3個・リモートコントローラ・コントローラ接続用ケーブル(4m, LANケーブル(PoE?))。

ケーブルの圧着端子はM8のようです。バッテリの端子ネジがこの径以下の場合、ワッシャを挟まないと取り付けられないかもしれません。

周波数は正面パネルのスライドスイッチで切り替えられます。

正直どちらでもよいのですが、東日本出身の身としてはコンセントは50Hzという印象が強いです。とりあえず50Hzに設定しておきます。

バッテリ・インバータの配線

バッテリ二つを直列接続し、その両端をインバータに接続します。

バッテリからの配線をインバータの入力端子に接続した瞬間、バチッ!!!と火花が飛びました。

これは配線を誤っているわけではなく、インバータ内部回路の突入電流によるものです。多くの回路は、どうしても電流を長し始める瞬間に大きな電流が流れてしまいます。(突流電流防止回路というものもありますが、安価な中華製インバータには搭載されていないのでしょう・・・)

バッテリの配線です。バッテリ同士を繋ぐケーブルはプラスでもマイナスでもないため、青の熱収縮チューブを用いました。(完全に個人的なこだわりです。本当は赤黒以外の色のケーブルがあればよかったんですが・・・)

真上に伸びている太いケーブルはインバータに接続されています。

バッテリの端子部です。ここは些細な工夫をしたポイントでもあります。

なるべくケーブルと端子の接触抵抗を減らすため、チャージコントローラ・インバータに伸びるケーブル端子はバッテリの端子から直接触れるようにしました。どれだけ意味があるか分かりませんが、インバータから数百ワットクラスの負荷を繋いだ時場合は数十Aが流れることになります。気休めでもいいので、なるべく電圧降下による損失を抑えておきたいところです。

電源ON!

火花が予想以上に大きかったので、もしかしたらヒューズ飛んでるかも・・・

なんて思いながらスイッチを入れましたが、問題なく起動しました。ひとまず安心です。LCDディスプレイには入力電圧・インバータ温度・出力電圧・出力電流・周波数が表示されています。出力電圧が99Vと100Vを行ったり来たりするのがのが気にくわないですが、まぁよしとします。

試運転

何を動かせば災害時に役立つことを証明できるか悩みましたが、まずは炊飯器で試すことにしました。停電時でもごはんが炊ければとても心強いですからね。

使う炊飯器はコチラ。ニトリで購入したMB-FS3017Fという機種です。

定格消費電力は640Wですが、エコモードというモードがあり、これで炊けば消費電力を抑えられるらしいです。通常の白米モードと比較しましたが、味の違いが分かるような繊細な舌は持ち合わせておりませんでした。

コンセントをインバータに接続

電源をインバータに接続します。と言っても、コンセントをスロットインするだけです。(古い)

電源を入れると、ちゃんと起動してくれました。

電源を入れる前のバッテリ電圧は27.4Vでしたが、ON後は27.0Vまで低下しました。これは仕方ないですね。待機電力だけでも目に見えるほど下がるようです。

炊飯開始!

コメをセットして、炊飯を開始します。こんなに緊張する炊飯は生まれて初めてです。スイッチを入れた瞬間インバータが突然停止するのではないか、途中で電力不足で停止してしまうのではないか・・・などとビビっていましたが、ひとまず炊飯は開始できました。

バッテリ電圧の変動

炊飯中は結構バッテリ電圧が変動しました。バッテリなので、負荷に応じて電圧が変動するのはそりゃそうなのですが、途中で止まられると困る負荷なのでソワソワしてしまいます。

起動直度は27Vあった電圧が、起動後はすぐに25Vに落ちました。その後は23.8~26Vの間を行ったりきたり。恐らく、加熱の仕方がいろいろ変わっているため、消費電力も変動しているのでしょう。

ちなみに、時間帯は午後なので既にパネルには直射日光が当たっていません。ただ、ベランダの正面にはそこそこ高いビルが沢山あるので、ビルの反射光はそれなりに強いです。一応、発電しながらの炊飯になります。

そして炊き上がり

炊飯開始から45分後・・・無事に炊き上がりました。よかった・・・

見てくださいこのホカホカのごはん。いや、あまりおいしそうには写真撮れませんでしたが。

でも、これで非常時も晴れてさえいればごはんが炊けることが証明できました。(気持ちのせいか、いつもより美味しく感じました)

バッテリ電圧は25Vまで落ちていました。一つのバッテリあたり12.5Vなので、まだ余力はありそうですね。あとは、電子レンジも使えることを確かめられればもう怖いものなしですね。

まとめ

無事24V系への移行も完了し、基本的な動作確認もできました。何より、しっかり家電を使うことができることを確認でき、災害時への備えも一歩進めることができました。

次はIoT要素、つまりバッテリ電圧やパネルの発電状況を監視するシステム作りに取りかかりたいと思います。こちらは災害対策というより、趣味要素が強いです。まずは監視のみで始めるつもりですが、将来的には何らかの制御系も組み込みたいと思っています。

いったい何を制御するか?

それはこれから考えます。

続きます。

続きはこちら>>自宅で太陽光発電システムを構築する⑥ (IoT構想編)

COMMENTS & TRACKBACKS

  • Comments ( 2 )
  • Trackbacks ( 0 )
  1. By panlunaoppai

    世界で1番ibukiさんの事が好きな後輩です。
    私の今の仕事がほぼ電気工事な為、
    初めてibukiさんのブログを理解しながら読めました。
    細かく書いてあってわかりやすかったです。

    IoT要素の追加楽しみにしています。

    • By shinodaibuki

      panlunaoppaiさん

      コメントありがとうございます。
      初めてもらうコメント、とても嬉しかったです。

      専門外の人でも分かりやすい記事にできるよう、心がけていこうと思います。

      暇つぶしがてら、ときどき読んでくれたら嬉しいです。

      電気工事頑張ってください。

LEAVE A REPLY

*
*
* (公開されません)