水やり奴隷からの解放を目指して・・・
野菜や観葉植物を育てていると、定期的な水やりがかなりの負担になることがよく分かります。暑いシーズンに、水をよく吸う種類の植物を育てていると、毎日の水やりはほぼ必須でした。
まがいなりにも電子系技術者を名乗っているので、日々の水やりを省力化する水やりシステムを作ってみることにしました。
システム構成
遠隔で制御/監視できるように、ラズパイにインストールしたnode-REDでメインの制御プログラムや操作画面を作ります。センサからの情報取得やポンプ駆動回路など、ハードウェアの直接制御はArduinoで行った方が組みやすいので、node-REDからArduinoに定周期で問い合わせ、Arduinoでデータの収集や制御を行う構成としました。
その他に、必須の機能ではありませんが、システムの健全性を監視できるようにRAS機能も実装します。Arduinoのライブチェックや制御ボックス内の電源電圧監視(12V/5V)ができれば、遠隔から操作する場合も安心です。
ポンプのテスト
このシステムのコアになる、ポンプのパワーを試しておきます。最低限3つの鉢植えに対して同時に給水したいので、三分岐させてたときの水圧を確認しておきます。丁度よいアダプタが市販されていなかったので、3Dプリンタで自作してみました。内部は中空になっています。素材はPLAです。
印刷してホースに取り付けました。口の太さは何パターンか作成して調整しました。
風呂場でのテストの様子です。ポンプの給水部にもホースを接続できますが、パワーがかなり落ちてしまいまいました。呼び水なしで使うためにはポンプをタンクの中に沈めた方がよさそうです。
プラパイプに小さい穴をあけ、3Dプリンタで作製した部品と組み合わせて放水管を作りました。三分岐させてもこれだけ勢いで放水できました。
細長いプランター用に、長い放水管も作りました。短い放水バーと比較すると水勢は下がりますが、放水時間を長めに設定して対処しましょう。
制御回路の作製
制御ボックスは屋外に設置するので、防水タイプのプラボックスを採用しました。ラズパイと電源回路・Arduino用の周辺回路基板が入ればよいので、大きさは130mm X 180mmサイズのBCAP131808Gです。
電源回路
モーター駆動時には電流がそれなりに流れるので電源は12Vで室内から引き出し、ボックス内部で12V→5Vステップダウンコンバータ(写真では左下)で電圧を落としてラズパイやArduinoの電源を作っています。ステップダウンコンバータは余裕を見て3A程度のものを選定しました。Amazonでも700円ほどで入手できる安価なものです。出力電圧を調整できるタイプだったので、出力電圧は余裕を見て5.10V程度に設定しています。
ちなみに電源監視機能は、これらの電圧を5V以下になるように抵抗で分圧して、ArduinoのADコンバータピンに入力することで実現しています。
ポンプ駆動回路
トランジスタでリレーを駆動する、ポピュラーな駆動回路です。毎日使う回路なので、リレーコイルの逆起電力対策として、ダイオードも追加しています。
ラズパイ&Arduino
高速な処理は必要ないのでハイスペックなモデルである必要はないのですが、node-REDの開発がスムーズに進められるように、一定の処理能力のある3B+を採用しました。Arduinoはmicroです。
タンクの加工
アウトドア用の10リットル水用タンクを使用します。
ポンプをタンクの中に沈めます。ポンプの電源ケーブルも引き出し、ホースと一緒にロックタイで固定しました。
小さい方のキャップに穴をあけ、ポンプので出力側から伸ばしたホースを通します。虫の侵入や水の蒸発を防ぐため、隙間なく接続できるように部品を3Dプリンタで作製しました。
完成!試運転!
自宅は賃貸のマンションなので、外壁に穴をあけるわけにはいきませんでした。そこで、L字に加工した木材にボックスを固定し、タンクの重さで動きずらくなるようにしました。
実際にベランダへ設置しました。エアコンのドレーンホースを直接タンクに接続することで、エアコンから発生する水をタンクに溜めることができます。冷房を使う夏場は給水する手間が省けるので、水やりのための手間がかなり省けました。(24時間も稼働していれば10リットルのタンクがいっぱいになりました)
放水の様子です。問題なく放水できることを確認できました。このサイズのプランターだと、毎朝30秒程度放水すれば問題なさそうでした。