昨年に引き続き、鉄道技術展に行ってきました。今年の開催場所は幕張メッセのため、神戸→東京へ遠征です。

昨年もそうでしたが、ほぼコロナ前と変わらない活気のある会場でした。

日本車両

まず目に入った展示物がこちら。作業しやすい高さに台車を持ち上げる装置(台車組立装置)の模型です。このカラーリングはどこかで見たことがあるなと思いましたが、おそらくJR東海の新幹線浜松工場内で採用されているものではないかと思われます。

続いて新型台車の展示です。センサを内蔵したイマドキの台車だそうです。

昨年は関西開催ということもあり、近鉄が本物の台車を展示しており、それはそれで大変面白かったですが、台車の構造を見るのであればこれくらいの模型で十分かもしれません。

積層跡が確認できるので、FMDタイプの3Dプリンタで作製したようです。この3Dデータは欲しいですね・・・(絶対にもらえませんが)

NKKスイッチズ

近郊電車のドアボタンでおなじみのNKKスイッチズです。学生時代はE721系に大変お世話になっておりました。ブースの様子は昨年のほぼ同様に見えます。

鉄道向けには最も売り?にしているTB01シリーズです。今回初めて知りましたが、このボタンは国際規格で形状が決まっているいるそうです。

頂いたデータシートによると、EN14752:2019で寸法が定義されておりました。ENとはEU内における工業規格(日本でいうところのJIS)です。

ユタカ製作所

ジャンパー・カプラ・コネクタを製造しているユタカ製作所です。車両間をつなぐ電気的な連結器(電連)のメーカです。

なんと本物の電連が展示されていました。

これは在来線用のものだそうで、無数の電極が実装されています。電極はニッケルメッキと金メッキを1極単位で選べるそうです。車両に取り付けられる際は開閉式のカバーで保護され、車両が接近・接触して左側の棒が押し込まれることで、カバーが開いて接続する仕組みです。接触不良が許されない重要な装置のため、高度なものづくり力が要求される製品ですね。

こちらは新幹線にも採用されているジャンパコネクタです。

絶対に外れてはいけないコネクタのため、何本ものボルトを緩めてようやく外せるようなものなのかと想像していましたが、両手でひねることで簡単に取り外すことができるものでした。これなら、メンテナンス時の編成の分割・併合が容易そうです。

U・V・W・Eとの刻印があるので、三相+アース線を想定していることが分かりますね。

関西工機整備株式会社

保線用の車両や器具のメーカ、関西工機整備株式会社です。小型のレール削正車を展示されていました。大型の削正車やマルチプルタイタンパーは海外にシェアを取られているそうで、関西工機整備株式会社ではそれらと差別化し、トラックでも運搬できるような小型の削正車を作っているそうです。

荷台には発電用のエンジンが積んであります。この車両の正式名称は「14頭式削正車」です。「14頭」とは何を指すのかと伺ったところ、削正に使っているモーターの数が14個からきているそうです。

上の写真の青いカバーの中に、左右それぞれ6個の削正機が取り付けられています。地面に対して垂直の回転軸を持つ刃で削るので、フライス盤で切削するイメージですね。

あれ、左右それぞれ6個だとすると、全部で12個しかありません。残り2個のモーターはどこかと探していると、車両端部に取り付けられていました。これは前段6個の削正機で削った後に、仕上げでやすりがけをする装置です。赤いベルト状のサンダーが回転することでレール面を仕上げます。

【レールの削正の頻度】

レールは設置からの時間ではなく、「レールの上を通過した車両の総重量」(通過トン数)で定義されているそうです。レールは車両が通過することで表面が圧縮されます。これが何度も繰り返されると細かいクラック(ひび)が発生し、レールの破断に繋がってしまいます。そのため、変質した表面を削り取る作業が定期的に必要とのことでした。

他にも、保線で使用する様々なツールが展示されていました。これは軌道短絡器です。あまり聞きなれない道具ですが、保線作業の際に軌道を強制的に短絡し、直近の閉塞区間の信号を赤にするために使用します。本来は車両が通過することで2本のレールが短絡され、列車を検知して信号を切替えますが、これはそれを模擬する装置ということになります。

接点は左右2個ずつありました。いわゆる二重化です。保線作業者の方の命に係わる重要な装置のため、万が一、ひとつの接点で短絡が取れなかった場合に備えているのでしょう。接点の先端が尖っているのは、レール表面の酸化膜を破って導通を確保するためと思われます。

関西工機整備株式会社(印刷事業部グラフィックサインセンター)

会場を見渡していると、関西圏のJRではよく目にするデザインが目に入りました。まさか上記のレール削正車と同じ会社とは思いませんでしたが、デザイン・印刷専門の部隊が担当されているそうです。

時刻表も作っているのかーと思いましたが、よくよく見てみるとカレンダーでした。トレインボックスで期間限定販売していたそうですが、私は期を逃してしまいました・・・

ブースでは路線図のクリアファイルを頂きました。このようなシンプルなグッズが鉄道好きには刺さります。

所感

昨年は関西開催だったこともあり、近鉄や阪急・阪神などの関西私鉄が目立っていた印象ですが、今年は相鉄や小田急など、関東らしい鉄道会社の出展もあって、会場を輪番制にする意味もあるのだと感じました。

法人向けの展示会だけあり、普段なかなか見られない設備や機器をじっくり観察できる良い機会となりました。来年もぜひ参加したいところです。