TOMIXから尾灯(テールライト)が点灯する製品が出ているにも関わらず、わざわざKATO製品を改造した。理由はかんたん。自分で作るのが好きだから。
コキフ10000型貨車とは
鉄道におけるコンテナ輸送の礎を築いたとされるコキ10000型貨車の緩急車(車掌車付きで、手ブレーキが付いている)である。60年代、自動車による長距離輸送が発達しつつあり、これに対抗すべく旧国鉄は100km/hで走行可能な貨車として、コキ10000型を投入した。
コキ10000は空気ばねを採用しており、これにより時速100km/hでの走行を実現した。また、コキフ10000に搭乗する車掌さんからも、「乗り心地がよい」とのことで好評だったそう。 ちょうどコンテナ一つ分が車掌室になっている。無機質な長い貨物編成の中で、唯一「人」を感じることのできる車両である。
それでは模型を見てみよう。
銀色の屋根とベンチレータ(換気するとこ)が印象的。以前にTOMIX製品のコキフ10000を見たことがあるが、やはり造形はKATOが一枚上手なのだと感じる。こんな小さな部屋が編成の一部に組み込まれ、ほんのり明かりが灯っている様子を是非生で見てみたかった。残念ながら、平成8年に形式が全廃したため、物心つく頃に見ることはできなかった。
なので、せめても模型でいいので、それを再現してまだ見ぬノスタルジーを感じたい。
集電台車化
KATO製コキ10000 ・コキフ10000 は、集電台車化を前提に設計されていない。そのため、美軌模型の販売している集電台車化キットは使えない。なので車輪ごとに集電用の小さな穴の開いた銅板を配置し、その間をΦ0.15mmのエナメル線で接続した。前後の台車で集電すればより安定して電気を回路に供給できるが、集電台車一つ作るのも一苦労なのでひとまず台車一つで試してみる。
いつもなら台車のピンの脇にばねを配置するのだが、今回は直接エナメル線で車体に接続してしまった。KATOコキフ10000の車輪は、軸同士で短絡してしまうようなので、別のジャンク車両から持ってきた車輪を使用した。ちなみに、カプラー(連結器)側の車輪は車軸が台車に干渉してしまったので少し削っている。
尾灯の取り付け
尾灯っていいよね。線路面に目をあってて、去りゆく赤い尾灯を眺めるのは実に感慨深い。
余談だけど、鉄道の場合は「テールライト」といわずに、「尾灯」と言うのが正しいみたい。まぁ分かればいいっか。
尾灯は左右二つある。それぞれ並列に接続するのも面倒なので、LED直列接続とした。LEDは1608(1.6mm x 0.8mm)サイズを使用。抵抗はいろいろ試した結果33kΩが丁度良さそうだ。
いい感じにぼんやりと光っている。背景が散らかっているのは気にしないでほしい。
室内灯の取り付け
室内灯はテープLEDの切れ端を利用した。テープLEDは両面テープでどこにでも固定できるので非常に便利だ。見えないところであれば、これでいいだろう。非防水タイプのものであればカッターなどで被覆を簡単に削り取ることができる。
電源回路と電流制限抵抗
整流・平滑・LEDの電流制限回路をコンテナ中に作った。構造はいたって簡単で、ブリッジダイオードで整流→セラミックコンデンサで平滑→電解コンデンサで蓄電している。参考までに、各部品の仕様を載せて置く。
- ブリッジダイオード:uxcell MB6S, 0.5A,600V
- セラミックコンデンサ:詳細不明。たぶんムラタ製。1μF, 16V
- 電解コンデンサ:ルビコン製, 50V, 22 μF
ちなみにセラコンと電解コンは別の用途のように書いているが、本質は同じ、「電気を溜める」ことである。 22 μF とバカでかい容量を載せたのは、最近ポポンテッダから発売された「エネルギーチャージ付き室内灯」と同様に、多少の電源断でもLEDが消灯しないようにするためだ。
ちなみに、よくNゲージの電子工作でLEDを使用するとき、定電流ダイオードを使っている記事を見かける。正直あそこまでしなくとも今のLEDは簡単には壊れないと私は思う。もちろん使ってもなんら問題はないのだが、たかがLED一つなので抵抗で十分だろう、という考えだ。少なくとも私はそれでLEDが故障した経験はない。
ひとまず完成。そして今後
尾灯と室内灯の取り付けが完了した。一緒に購入したコキ10000三両を連結すると雰囲気が出る。試しに走らせてみると、22μFの電解コンデンサが効いているのがよくわかる。全然ちらつかない。(もちろん線路の通電状態にもよるのだが)
今後に向けて二つの問題点を解消しなくてなはらない。一点目は尾灯の光がデッキ側に漏れており、またレンズがないこと。二つ目は室内灯は当時、蛍光灯ではなく電球だったことだ。大先輩の鉄の方に伺ったところ、「ぼんやりと電球の明かりが漏れていた記憶がある」と述べた。
光漏れは丁度いい色の塗料を入手次第、塗ることにする。こういう遮光目的であればまずはフラットブラックで塗ってから、任意の色を塗ることをお勧めする。
これらは、ひとまず次の走行会までに修正することにしよう。