キャンプで薪ストーブを導入しようと、ホンマ製作所「黒耐熱 窓付時計型薪ストーブ ASW-60B」を購入しました。到着をワクワクして待っていたのですが、実際に届いてみると想像以上に大きく、キャンプに持っていくには少々骨の折れるシロモノでした。(もちろん購入前に寸法をよく確認しなかった私が全面的に悪いのです)
このままお蔵入りさせる・売り払う方法もあったのですが、せっかくなので自室に設置することにしました。
薪ストーブを設置するためには、熱から床や壁を守る炉台が必要です。今回は、レンガなどの不燃素材を使って炉台を自作(DIY)しようと思います。
当サイトを参考に作製された製作物において、いかなる事故が発生した場合でも、筆者は一切に責任を負うことはできません。あくまでも製作の「一例」としてご覧ください。
そもそも、設置可能な環境か?
薪ストーブを室内に設置する上で、考えられるハードルとして以下が挙げられます。
- 火災報知器の構造上、使用可能か?
- 一酸化炭素中毒の恐れはないか?
- 短い煙突で排煙は可能か?
1.火災報知器の構造上、使用可能か?
火災報知器の構造によっては、発熱する物体が部屋にあるだけでアウトになりかねません。まずはじめに、自室の火災報知機の形式を確認することが必要です。
火災報知器センサの多くは、手で回すと簡単に取り外すことができます。
ラベルに「差動スポット型感知器」という表記が確認できます。メーカのデータシートを確認したところ、このセンサ周囲の温度が60度以上になった場合に警報を発するものでした。構造としては、内部に密閉された空気があり、温度が上がるとこれが膨らみます。膨らんだ部分(ダイヤフラム)が押し出されて接点を閉じると電流が流れて火災を検知する、という仕組みです。
このセンサは温度のみに反応し、燃焼で発生するガス(一酸化炭素・二酸化炭素など)や赤外線(熱源)に反応するセンサではありませんでした。
つまり、このセンサの周囲の空気の温度を60度以上にさえしなければ、火災は検出されないということです。
冬場にストーブをつけて、人間がいる環境で60度に達することはほぼあり得ません。30度に近づけば暑くなって窓を開けるでしょうし、「ストーブの使用中は絶対にその場を離れない」という制約の元、使用することにすれば問題はなさそうです。
2.一酸化炭素中毒の恐れはないか?
部屋に設置されているセンサが一酸化炭素に反応しない以上、一酸化炭素中毒の予防は自らが行わなくてはなりません。
一酸化炭素は吸い込むと血中ヘモグロビンと結合し、酸素を運ぶ役割を阻害、結果的に窒息させるという恐ろしい物質です。これを避けるために、一酸化炭素検出器を用意しました。Amazonに安価で販売されています。
これを設置することで、一酸化炭素濃度が一定値以上になった場合に警報を発します。
これで、燃料の不完全燃焼と煙の逆流が発生した場合でも、瞬時に対応することができます。
3.短い煙突で排煙は可能か?
煙突は煙を排出するだけでなく、煙突が温まることで発生する上昇気流(ドラフト)を利用して煙を吸い込み、逆流を防ぐ効果があります。(暖炉がある部屋で、部屋に煙が充満していないのはそのおかげです)
逆に煙突が短いとドラフトが稼げず、煙が煙突方向にうまく流れてくれません。今回は下の図のように窓から煙突を出し、すぐに排気します。本当は屋外に出してから屋根の上まで伸ばす必要があるのですが、容易に撤収を可能とするため、このような形になりました。
実験してみたところ、ある程度煙突が温まった状態であれば、安定して排気することができました。
以上より、設置のための問題はクリアです。
炉台の設計
設計はフリーCADのAutoDesk fusion360を使いました。
モルタルのベースとなる板材には、不燃物であるケイカル板や石こうボードを使うか非常に悩みましたが簡易的な実験※の結果、レンガとモルタルのみで遮熱は十分との判断で安価な木材を使用することにしました。
※簡易的な実験
レンガをストーブの下に並べて数時間使用し、レンガを撤去して床の温度を確認しました。結果は、周囲と比較してほんのりと温まっている程度の熱は感じましたが、発火や炭化の危険があるレベルではありませんでした。
これは最下層の木枠です。45mm角の木材を使用します。底面は圧力を分散できるよう、根太を5本としました。
その上に厚さ12mmの針葉樹合板を貼り付けます。これをベースにモルタルを敷き、レンガを固定します。
下から空気層45mm, 木材合板12mm, モルタル10mm, レンガ35mmの四層構造です。これだけ厳重にすれば、壁・床へ熱が伝わることはないでしょう。
コチラがCADで組み上げた炉台です。底面はななめにレンガを並べ、ストーブと同じ向きに揃えようと思います。(レンガをきれいにカットできるかが心配・・・)
縁には飾りとして塗装した板を貼る予定です。幅が105mmと半端なので、丁度良い板が売っていればよいのですが。
炉台は推定200kgで、かなりの重量物になる見込みです。フローリング保護のため、ゴムシートなどの緩衝材を敷いた上に設置することにします。
ホームセンターで材料調達
45mm角材は建材としてポピュラーな寸法のようです。画像はアカマツで1m150円でしたが、この後に一本100円の杉材を見つけたので、そちらを採用することにしました。
合板です。近所のホームセンターにはラワン合板と針葉樹合板が売っていましたが、建築士の友人曰くラワン合板は強度が低いためおススメできないそうです。
レンガは沢山の種類がありました。一番の悩みどころでしたが、最終的に写真右側のスリムレンガを使うことにしました。(一個88円)
施工する数をなるべく減らしたいという考えから、薄くて大きなものを選びました。同じシリーズで赤と白の二種類があったので、赤をベースに白を混ぜ込むデザインにしてみようと思います。
この後、数日かけてレンガと木材を自宅に搬入しました。レンガは全部で93個。一つ1.3kg強だったので、全部で124kgにもなります。
二の腕が筋肉痛でパンパンです・・・
続きます。
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